本当は申し込む事もやめたほうがいいのではないか?と思った。それでも見たいと思った。だから立ち見だけ、、そんな気持ちだった。
あれから数日経ったが、胸の中がざわついていて落ち着かないのと、「申し込みやめたほうがいいかも、、」と思った公演に入ったからこそ残しておこうと思い、今ブログに向かっている。
2021年11月18日STU48「僕達の恋の予感」公演を観に行った。
この日はSTU48、門脇実優菜さんの活動終了日であり、最終公演だった。
あくまで活動最終日ということで、卒業公演ではなく通常公演という枠組みで行われたこの公演はそれでも中身はほぼそれと同じで、出演メンバーもMCでは”みゆみゆ”の活動最終日である事を公言していたし、パフォーマンス中に涙を流すメンバーも多くいた。
僕の席は立ち席、最上手(かみて)で、冒頭でも書いたように実質、卒業公演であるこの公演に申し込む事にも少し遠慮を感じていた僕は誰にも邪魔にならないであろうその席に少しホッとしていた。しかし、実際にその場に立つと自分の後ろに一人、門脇さんデザインのたまねぎパーカーを着る方がいた。その方はこの公演を自分の背中越しに見ることになる。きっとこの方にとって一瞬、一瞬が脳裏に焼きつくであろうその中に自分の背中が写っているのは、どこか居たたまれない気持ちになり、overtureの最中に、一歩右側により、その方にアイコンタクトして「(どうぞ)」と訴えると、その方は一瞬驚いたような表情を見せつつも、次の瞬間には何度も会釈を重ねながら半歩だけ前に出て、その公演は始まった。
門脇実優菜さんはSTU48でトップのパフォーマーだ。そのダンスのキレ、表情の豊かさ、派手な動きとは対極に細かなところにまで目が行き届いているのが、ダンスド素人の自分にだってよくわかる。なによりいつ見てもそのステージで踊ることをとても楽しそうにしてるように自分には見えた。
今日だってもしかしたら同じようにあっけらかんと楽しそうにステージをこなすかもしれない。公演前は少しそう思っていた僕であるが、どうやらそうではない事がすぐにわかった。
彼女の周りのメンバーが開始早々に泣き出すのはもちろんのこと、門脇さんも笑顔の中にはいつもとは違う表情があった。
この「僕達の恋の予感」公演のセトリには中盤に3曲のダンス曲がある。
「愛しきライバル」「従順なSLAVB」「手遅れcaution」の3曲。
この3曲は毎回、門脇さんの見せ場であり、幾度となく素晴らしいパフォーマンスを見せてきてくれた。
その中で「愛しきライバル」での門脇さんのペアは今村美月さん。
門脇さんと共に、STUのパフォーマンスを最前線で引っ張ってきた人だ。
この曲の歌詞にこんな一節がある。
「競い合うことで 強く生きられた もし君がいなくなったらどうすればいい? 愛しきライバル」
「同じレベルで 輝き続けて 今やっと僕の隣で 君が踊るよ 愛しきライバル」
僕は公演でこの部分を見ているときに門脇さんと今村さんだけの切り取られた世界を見ているような感覚に陥る。
ダンス曲でエンジンをかけ直し、最後のその瞬間をフルスロットルで駆け抜ける門脇さんに対し、その隣で門脇さんがいるその瞬間をかみ締める今村美月。
ああ、、この瞬間を僕は見に来たんだ。
推しメン関係以外で僕が公演で泣くって初めてだったんじゃないかな、、
公演後の今村さんがtwitterで
「お互いを認め合って褒めあって 高めあって競い合っていける 存在だと思っています いつも側で踊れて嬉しかった ずっと憧れです 大好き!!! #門脇実優菜」
と、呟いていて、本当にこの曲通りの関係性だったなと。
いいものを見せてくれて、ありがとうございます。
門脇さんが「卒業」という形ではなく「活動自粛」という形でSTU48を去っていくことに何も思わないわけではない。
どうして、、と思う部分もある。
公演終了後、見たこともないくらいに泣く彼女をみて胸が痛んだ。
それでも、門脇実優菜がSTUに居たこと。そこで見せてくれたパフォーマンス。笑顔。きっとあの公演をみた人、誰も忘れないと思う。
多くの人が、あの公演が「卒業公演」ではなく枠組みとして「通常公演」になったことで、推し登録が効かず入れなかったかもしれない。だからこそ、あの公演に入ってしまった。あえて”入ってしまった”という言葉を使いたい。
入ってしまった人にはそう言う義務があるのではないかと思った。
大げさだけれども、そんなような事を思い、これを残しておこうとブログに向き合った。
公演が終わり、僕の隣にいた門脇パーカーの方が真っ赤な目で、また何度も会釈をしながら後ろに下がっていった。
この方の脳裏には今日の門脇さんの姿がきっと刻まれたと思う。そう思うと来てよかったなと改めて思えた。